
早いもので、2019年も半分が過ぎましたね。
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早いもので、2019年も半分が過ぎましたね。
元宝塚歌劇団星組の湖月わたるです。
私は今月の19日から21日まで、宝塚バウホールで、舞台生活30周年記念公演をさせていただきました。
宝塚バウホールのステージに立ったのは、2002年、同期生4人で演じた『Switch』という公演以来、何と17年振りでした。
この劇場の特徴は、オーケストラボックスや銀橋がないので、とにかくステージと客席が近い! まるでお客様に包み込まれているような感覚になります。
お化粧を工夫したり、お芝居の細かさを変えてみたり…。今回の公演に一緒に出演していた朝海ひかるちゃんと、思い出話は尽きませんでした。
そして、宝塚バウホール公演は、生徒にとっても、演出家の先生にとっても登竜門。宝塚大劇場とは違う小さな空間、少ない人数で、古典から挑戦的な作品まで、若手にチャンスが与えられ、先生も生徒も必死に取り組みます。壁にぶち当たりながらも、何かを掴んで、次に向かおうとする! その姿を、お客様が温かく見守り応援してくださる。これが、宝塚バウホールの醍醐味だと思います。
お話を戻して、私が宝塚バウホール公演に初めて出演させていただいたのは、1990年の『シティライト・メロディ』。主演の紫苑ゆうさんと洲悠花さんの住んでいるアパートにデリバリーを持って行く青年役をいただきました。毎回緊張しながらも、一生懸命工夫して演じていましたね。
中でも特に勉強になった公演が、研5で出演した『FILM MAKING』(1993年)でした。初めてポスターに写真を載せていただいて張り切っていたのですが、稽古終盤、私の台詞はいくつもカットになり、悔しくて、悩みながら初日の幕が開きました。演出の谷正純先生から「何でカットになったのか分かっているのか?」と聞かれ「分かりません」と答えた私に、先生はこうおっしゃいました。「信仰心のある青年なのに、上辺だけで理解したつもりになり、そこを掘り下げ、知ろうとしなかった。だから、その部分をカットしたんだ」と。この時から、私の役作りに対する考え方、取り組み方が大きく変わりました。そして役の気持ちになって日記を書いたり、台詞や場面が無い所を埋めたり、歌もダンスも「演じる」ことなのだと考え直すきっかけになりました。あの時ご指導いただいた谷先生と、この作品に本当に感謝しています。
また、各組のメンバーが集まって行われた、ダンスや狂言のレッスン発表会では、お芝居の公演とはまた少し違う緊張感と団結力が生まれ、大変だった分、得たものも大きい貴重な経験でした。
色々なことを経験させてくれた宝塚バウホール。
これから、この劇場でどんな作品、どんなスターが生まれていくのか…。
皆さま、ぜひ宝塚バウホール公演にも注目し、熱い声援を送ってあげてくださいね!!
今月も読んでくださり、ありがとうございました。